我輩はタイガである

ウサギ目線で観る、ご主人の介護奮闘記

タイガ、日記を書く

我輩はタイガである。

かの有名な一節を初っ端から拝借して申し訳ない。

動物目線で日記を書くと決めてから、これだけは言ってみたいとずっと思っていた。

 

タイガというのが名前で、生き物に部類分けするとウサギという個体に当たるらしい。

自分で言うのも何だが、かなり可愛らしい見た目をしている、らしい。

我輩を見たお嬢さん達がこぞって

「可愛い〜!ピーターラビットみた〜い!」

とメロメロになっている事からもご想像していただけると思う。

 

・・・話が逸れた。

 

とにかく、タイガと言う名前のウサギである我輩は日記を書く事にしたのである。

何故ウサギが日記、もといブログを立ち上げられるのかという疑問はこの際まるっと無視していただきたい。

半分ファンタジーである。

 

話を戻そう。

我輩が日記を書こうと思い至った一番の理由、そこには我輩のご主人の存在がある。

ご主人は、それはもうウサギ目線で見ても個性的な人で

口は悪いが情に厚く、困った人がいると放っておけず、困って無くてもお節介を焼きたがる

退屈を嫌い、常に新しい体験、変化を求めている

たまにふらっと旅に出ては自分をリセット、もしくはバージョンアップさせて帰ってくる

それでいて御歳60歳を優に超えるのだ。

ご主人の姪っ子曰く

「フーテンのトラさん」を絵に描いたような人なのだと言う。

※まあ我輩はウサギなのでトラさんを良く知らないが

しかもうちのトラさんは5ヶ国語を自由自在に操り、最早その時点で規格外なのだが

更にまた別の言語も習得中なのだと言う。

この人にはきっと、限界と言う概念が無いのだ。

 

そんな破天荒の代名詞のようなご主人だが、彼が今生活の中で優先順位第1位に置いていることがある。

それは、彼の実の母親の存在である。

大正生まれで御年97歳のご長寿で、通称トシ子ばーちゃん。

さすがに足腰も弱くたま〜にボケも入るので、誰かの介護が無ければ生活出来ない状態だ。

日中はデイケアに通っているが、それ以外はご主人がほぼ一人でおばあちゃんの介護をしている。

60歳を超える息子が97歳の母親を介護しているわけだから、今この国で問題視されている「老老介護」にぴったり当てはまるだろう。

 

しかしうちのご主人には、その辺の悲壮感というものがあまり感じられない。

前述したように、まあとにかくユニークな人なのだ。

何か壁にブチ当たると、何とかしてその壁を取り壊す、又は回避できないものかとあらゆる手を尽くす。今までそうやって幾つもの困難を乗り越えて来た。

その雄姿を、一番近くで見ている我輩が記さなければと思い至ったのだ。

ウサギにだって出来る事はある。

 

次回へ続く